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2009年02月04日

利休にたずねよ

『利休にたずねよ』(山本兼一著)

いわずと知れた直木賞受賞作なのですが、
自分は、直木賞というよりも、むしろ、「天地人」からのつながりでこの本を読み始めました。

「天地人」の中には、直江さんと利休が絡む場面が出てきます。
一番覚えているのは、利休が秀吉に命ぜられて切腹をすることについて、「義にもとる」と憤慨する場面なのですが、結果的に、『利休にたずねよ』と『天地人』という、同時代を別な視点から扱う二冊が同時期に注目されているという面白い現象が起こっていると思うわけです。

ちなみに、
利休が秀吉に殺されたというのは、数年前は、歴史ミステリー的に、
つまり、『正式とは認められていないけど、そういう話もあるよ』みたいな感じに受け止められていませんでしたっけ?
高校の時は、世界史一途だったんで、よく覚えていないんですが、確かそうだったような。『利休にたずねよ』の山本さんも、『天地人』の火坂さんも、
「ん?そんなの常識でしょ」みたいな感じで書いてましたが、よくよく思い返すと、そんな気がしています。

話が横にそれました。

本題の『利休にたずねよ』です。

文章の構成としては、利休の切腹場面が冒頭にあって、徐々に過去にさかのぼるという形式をとっています。桜庭一樹の『私の男』と同じ構成ですね。

その根底にあるのは、『利休の忘れられない恋愛体験』で、日本に無理やり連れて来られた高麗の女性との体験が、美の追求や茶の湯の世界に大きな影響を与えたというストーリーです。その女性からもらった緑の香合(香を入れる入れ物)が、過去の恋愛を思い出すモチーフとしてたびたび登場するのですが、たとえば、秀吉がその香合を欲して横取りしようとしてもかたくなに固辞し、最終的な切腹につながる場面などを思い出すと、鮮烈な恋愛体験だったのでしょう。一番最後は、その女性との恋愛体験が語られるわけですが、読み進めば読み進めるほど、利休の原点に立ち返っていく感覚があって、『一人の人間としての利休』を感じることができました。

あと、文章自体の格調も非常に高く、読むことで、茶の湯を体験できるような不思議な気分になりました。思わず、背筋を伸ばして読みたくなる、そんな場面もあったように思います。

投稿者 zackie : 2009年02月04日 23:51

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