2007年09月24日
悟浄歎異
土曜日に高校の同級生から教えてもらった本を読んでみました。あの山月記で有名な中島敦の作品です。
西遊記に出てくるサゴジョウさんですが、「自分はどうして生きているんだ?何故?何故?」と疑問でいっぱい。「悟浄出世」という作品では、サゴジョウさんはその回答を見つけるべく、有名であるといわれているたくさんの先生の元を回ります。十人くらい回るんでしょうか。
結構、みんな面白いことを言うんですが、たとえば、なまずの化け物は、目の前を横切った鯉をつかみながら、
「この魚だが、この魚が、何故、わしの眼の前を通り、而して、わしの餌とならねばならぬ因縁をもっているか、をつくづくと考えて見ることは、如何にも哲仙にふさわしき振舞じゃが、鯉を捕える前に、そんな事をくどくどと考えておった日には、獲物は逃げていくばっかりじゃ。まず、素早く鯉を捕え、これにむしゃぶりついてから、それを考えても遅うはない」
みたいなことを言ったり、また別な人は、
「惟うに、爾は観想によって救わるべくもないが故に、これより後は、一切の思念を棄て、ただただ身を動かすことによって自らを救おうと心掛けるがよい。(中略)世界は、概観による時は無意味の如くなれども、その細部に直接働きかけるとき始めて無限の意味を有つのじゃ」
といったり。そして、最後に会った人が、
「後ほど、三蔵法師一行が通るので、その一行について精進せよ」みたいなことを言って、旅が始まるというのが「悟浄出世」。
悟浄歎異、天真爛漫にふるまう悟空とか、三蔵法師とかを見るサゴジョウの視点で、彼らを描写しています。
面白かったのは、「三蔵法師は実に弱いんだけど、内面的な強さがある」理由を、以下のように分析していた点。
全く、悟空のあの実行的な天才に比べて、三蔵法師は、何と実務的には鈍物であることか!だが、これは二人の生きることの目的が違うのだから問題にはならぬ。外面的な困難にぶつかった時、師父(=三蔵法師)は、それを切り抜ける途を外に求めずして、内に求める。つまり、自分の心をそれに耐え得るように構えるのである。
なんだろう。このゆるぎなさ、というのが自分の求める理想であるような気が。
悟空のように、外をたきつける生き方は、どうしてもどこかで破綻してしまう。自分の人生の充実っていうのは、三蔵法師の生き方の先にあるのではないかと思います。
すごく象徴的に言うと、会社生活っていうのは「悟空」的生き方であって、生きがいとかっていうのは、最終的に、「三蔵法師」的生き方の先にあるんではないかと思うところです。
あと、久しぶりに山月記も音読してみました。(笑
中島敦の書く、漢文的な格調高い文章は、久しぶりに読んでみるといいものですね。
難しい言葉も多く注釈を繰りながらの読書は少し面倒ですが、それはとりもなおさず、少ないページの中に、奥深いアカデミズムの世界が凝集されているということの現れでもあると思います。
今の世の中、そして、職業柄、「人に説明するときは、たとえそれが専門的なものであってもわかりやすく!」ということを求められますが、なんだろう、この人を寄せ付けない高貴さみたいなものが文学から失われつつあるとすると悲しいことで。
自民党本部の前で、何も考えずに「麻生」を叫ぶアキバ系の人たちを見ながら、そういうことを考えたのでした。
投稿者 zackie : 2007年09月24日 21:52
From:yuumiee
From:ざっきー
推薦ありがとう。大満足の本でした。
僕らって、悩むことが多い年齢だよね。よくわかります。まあ、年を重ねると余計悩みは深くなるんだろうけれど。
ただ、この前友達に、
「できないんじゃなくて、やらないだけの人が多い」みたいなことを言われたことがあって、「とりあえず、何かしてみるか」ということが最近の僕のテーゼかな。
韓非子は今日買いに行きます。
感想載せるね。
コメント待ってます。
From:yuumiee
そうそぅ。
人はなりたい姿になっている。
というのが私の持論です笑
愚痴ってても悲しんでても悩んでいても
それは自分が愚痴ってても悲しんでても悩んでいても
その状況にいたいからだと思ってます。
ほんとに嫌だったら、ほーーーーーんとに無理だったら
やめるし。なんとかするし。
韓非子レポ、楽しみにしてますよぅ
From:ざっきー
図形的にいうと、自分っていうものがぼんやりと真ん中にいて、社会という環境の中で、自分が右に揺れたり左に揺れたり。その揺らぎが、愚痴だったり悩みだったりを引き起こすわけだけど、自分の周りに何か見えない枠のようなものがあって、その枠の中をふらふらしていたり、枠から大きく外れないときには、たぶん、そこから動かないんだろうね。
でも、枠から大きく逸脱したとき、元の自分に戻れなくなって、動かざるおえなくなるんじゃないだろうか。
わかりにくい?
韓非子買いました。
結構、長いね。(笑)
4冊もあるなんて、初めて知りました。
ある程度読んだところで、レポ上げます。
あと、「にしおかすみこの意外な生真面目さ・・・」は僕も好きです。
憎めないよね。
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ね、おもしろかったでしょ?
なんにでもなんらかの理屈をつけたがる、
なんにでもなにかしら複雑にして深刻に考えたがる私に
父が薦めてくれた本。
さすがは父。三蔵路線な父です。ふふふ。
仕事がいやでいやで、「なぜ人間は仕事をするのか?」「生きる意味とはいったい・・・」みたいになってしまう私にさらりと
「自分磨きよ」
と言ってのけましたよ。
で、仕事する時間がいちばん長いのなら、
そこで自分を磨く努力せんと、もったいないがね。と。
次は韓非子読んでね笑