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2007年08月25日
知的な距離感
マジシャンである、前田知洋という人が書いた、人間関係を円滑に進めていくためのコツみたいなのを書いた本。
会社の帰り、品川駅の本屋に立ち寄るのが日課のようになっていますが、マーケティングのコーナーに置いてあって、軽く目を通してみたらおもしろそうだったので買ってみました。タイトルに、『知的』という言葉がついているのにも気に入って。
知的という言葉と、距離感という言葉。なかなか結びつかないですよね?前田氏以外に、距離感に知的を冠した人はいないのではないかと思います。
では、どんな話なのかというと、マジシャンが日ごろ気をつけている観客との間合いの取り方をベースに、一般的な人間関係へと応用するコツが書かれています。中心になるのは、『プライベートエリア』という考え方。人の周りには、他人に侵入されると不快になる目に見えないエリアがあって、そのプライベートエリアが人によって異なるので、人間関係はぎくしゃくするんだよ、うまく相手のプライベートエリアを読みましょうというのが、彼の一番の訴えのようでした。例を挙げると、自分の目の前30cmに、いきなり他人が真正面を向いてこられると、びっくりしますよね。それは、相手が自分のプライベートエリアを侵食したことを意味します。
ただし、同じ30cmでも隣同士に来た場合はいかがでしょうか。あるいは、30cm後ろに立たれた場合はいかがでしょうか。目の前に立たれるよりも、不快感は少ないのではないでしょうか。
前田氏によると、上の例のように、人間のプライベートエリアというのは前に広く、後ろに狭くできているんだそうです。
それをうまく応用した例を見つけました。電車の中吊り広告。
前田氏によると、混んだエレベータに人が乗ったとき、無意識のうちに人は上を向くんだとか。つまり、前に広いプライベートエリアを、混んだ環境の中で無理やり確保するために、上方向に空いたエリアを探そうとする無意識な行動なのだそうです。
前田氏は触れていませんでしたが、満員電車の中でも同じ作用は起こると思われます。周りの人とのプライベートエリアの接触を防ぐために、無意識のうちに人は上を向く。そうすると、広告が目に飛び込んでくるといううまい仕掛けになっているのだろう、と気づきました。
逆に、新幹線や特急電車など、ある程度プライベートエリアが確保されている空間の中では、乗客は上を向くことを強制されないため、中吊りという広告が効果的に働かないのだと思います。
プライベートエリアがらみで面白かったもう一つのお話は、『途中での乾杯の意味』でしょうか。
プライベートエリアというのは、何も一人に限定された話ではなく、夫婦や恋人同士、また、同僚などが集まれば、集団的なプライベートエリアが出来上がるものなのだそうです。そういった、既に出来上がったエリアの中に、たとえ自分が顔なじみだとしても、途中から割り込んでいくのはなかなか難しいものです。
そこで考え出された智恵が、『途中で人が来たら、話を一度中断し、乾杯をしましょう』ということだと前田氏は述べています。一度、既に出来上がってしまったプライベートエリアを壊し、新しくやってきた人が入りやすくしましょう、という智恵なんですね。
幹事メモに記しておきたいと思います。
#そこのあなた、何も、乾杯で半ば強制的にお酒を口にする機会を増やし、飲まないあの子を酔わせようということだけじゃないのですよ。(笑)
他にも、プライベートエリア絡みの話では、『ドライブ中に愛を告白するのは効果的か』とか、『エンゲージリングは自分のプライベートエリアで見せてから、相手のプライベートエリアに差し入れましょう』とか、面白い話題がいくつもあります。
論の運びはとても丁寧だし、語り口は非常に冷静でおだやかだし、何よりも、「この人は本当にマジシャンか」と思うほど、学術的な文献も多数引いてあったりして、知的に人間的な距離感を学ぶことができます。
他、プライベートエリアの話とは少し離れた話でしたが、プレゼンテーションをする場合、観客から見てスライドの左側に人が立ったら、人中心のプレゼンテーションに見えて、右側に人が立ったら、スライド中心のプレゼンテーションに見えるという面白い話がありました。
文章が、アラビア語など一部の言語を除いて、左から右に流れる関係上、人間は左にあるものに対してまず注目をし、その次に右側のものに視線を移すのだそうです。なので、スライドのどちらに立つかによって印象ががらりと変わる。非常に面白い指摘でした。というのも、つい先日、プレゼンの発表練習があって、そのときに上司から、「君はプレゼンはうまいんだけど、映画を見ているような気がするな。もっと、スライドを読むのではなく、離れた方がいいな」というようなことを言われました。確かに、練習不足はあったのですが、そのときの立ち位置を思い出してみると、観客から見てスライドの右側に立っていたんですね。
スライドとの位置関係も少し影響していたのかなあと、少し悔しい思いをしたところでした。
ちなみに、そういうことをぼやっと考え続けていたら、一般的な教室って、右前にドアがあって、左前にはドアがなく、教卓やプレゼンスペースがあるような作りになっている気がしますが、気のせい?
もちろん、前方には全くドアがなく後方にだけあるケースや、教室の4隅にあるケースなどもありますが、左前だけにドアがある教室ってあまり思いつかないのです。
思いつくとすると、T大柏キャンパスの大教室くらい?(笑)
教室の作りがそうだとすると、ドアのない左前方に教師が立って講義をするという形が自然でしょう。教師をクローズアップするための仕掛けなのでしょうか。。。
投稿者 zackie : 2007年08月25日 14:54
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