2007年05月13日
水の迷宮
『水の迷宮』(石持浅海 著)
蒲田駅近くにあるジョナサンで、一気に読みきりました。
ある架空の水族館を舞台にした脅迫と殺人事件の物語です。
しかし、その裏には、3年前に水槽裏で過労死を遂げた一人の飼育係の夢がありました。
物語の最後で、その夢がかなうのですが、そのページをめくるときには、自然と涙が出てくるようなそんな作品です。
水族館好きの人には、まず、読んでもらいたい。
僕も、久しぶりにしながわ水族館とか行ってみたくなりました。
あと、プロジェクトXとかプロフェッショナル~仕事の流儀~好きの人。
そんな人にも、ぜひ読んでもらいたい。
あとがきにあるように、「現実社会、こううまくはいかないだろ・・・」という感もぬぐえなくはないですが、旭山動物園の再生物語がドラマになるのと同じく、動物相手の仕事であったり、提供する価値がエンターテイメントである仕事であったりすると、やはりじーんとくるものがあるなあと思いました。
『悪魔が来りて笛を吹く』(横溝正史 著)
おそらく「帝銀事件」をモチーフにしたであろう天銀堂事件と、その容疑者として密告された元華族の失踪に端を発する連続殺人事件についての物語です。
横溝作品の中でも好評な作品というだけあって、そこかしこにちりばめられたトリックが解き明かされていくのは、すっきりしますね。
横溝作品の場合、「後で思い返すと、このときフルートを吹いてもらっていたら、事件の解決が早まったかもしれない」のように、「ここがトリックだよ!!」というポイントを作者側が明確に提示してきます。他の人の作品だと、状況の描写は読者に対しても探偵と同様に平等に提示されますが、横溝作品の場合、着目ポイントがはっきりしながら展開していくので、トリックが解き明かされるとものすごく悔しい。
そんなところも、たぶん、横溝さんが愛される理由なんでしょう。
さて、ストーリーですが、多くを言うのは差し控えたいと思います。
本当はいろいろ書きたい気持ちはやまやまなのですが、事件の動機は軽々しくブログにのっけられるようなものではないし、それについて論じられるほど、自分もまだ成長していないような気がします。
一ついえるとすると、人間って自分が思っている以上にあさましいものだし、そこを隠しながら、生きていっているんだろうなあということ。
「墓場まで持っていく」という言葉がありますが、この作品にしても、『水の迷宮』にしても、秘密を抱えながらの生き様という点は同じで、そういう秘密と幸いまだ無縁な自分は、まだまだ甘ちゃんだと思うわけです。
投稿者 zackie : 2007年05月13日 23:42
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