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2006年09月18日

犬神家の一族

横溝正史著『犬神家の一族』

犬神家の当主が残した奇妙な遺言状と、それに起因する3つの殺人事件。
結果を見ると、いろいろな偶然が重なって行った連続殺人事件ということになるわけだけれども、その偶然に、物語としての無理がないところが、この作品のすごさなんだろうと思いました。

犬神家の当主は、那須氏の有力者で、立志伝も出されていると設定されています。
偉人ではあるほど、昔の暗い過去や許されぬ恋といったことは隠したくなるのが常で、この『犬神家の一族』というミステリにも、そういったエピソードがいくつか盛り込まれています。成功を収めた人ほど、綺麗な歴史として自分を語りたい、『綺麗な歴史』を作りたいという欲望は強いものなんでしょう。

金曜日の某基金の会後、世話役の皆さんと飲んだときにも同じことを考えました。
私は今年26ですが、一緒に同席された世話役の中には70歳近い方もおられて、いわば、某基金の出発点を知っている先輩と飲んだことになるわけです。
真実かどうかは別にして、多かれ少なかれ、基金の歴史の中にも作られた部分はあるわけで、その作られた部分に対して、若干の違和感を抱いている先輩と、「作られた歴史」を当然のものとして受け入れている自分との間に、温度差のようなものを感じました。その先輩は、まさに基金の歴史が作られ始めようとした時期に基金におられたわけですが、先輩が生きた時代の一部分のみが抽出され、そして、基金の歴史として半世紀の間、語り継がれていることに対して、疑問を感じられているんだろうなあと思いました。

ただ、私の考えでは、何かの事業を始めるということは、つまり、新たな歴史を作るということであって、そこに少しの作為性が生じることはしょうがないことなのではないかと思いました。
事実を赤裸々に並べて歴史とすることは、それはそれで潔いのかもしれない。しかし、事業、あるいは、犬神家の一族のように、一個人を、より一歩、高いところへ上らせるためには、「歴史を作る」ということに対して、関心を持たなくてはならないのかもしれません。

投稿者 zackie : 2006年09月18日 01:12

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