2005年03月12日
ミステリーより
最近、暇ができればミステリーに手を伸ばしているような気がしますが、私にとってミステリー小説を読む醍醐味のひとつは、小説の中に出てくる豆知識にあります。まあ、今風に言えば、トリビアと言えるでしょう。
たとえば、法月さんの書かれた『生首に聞いてみろ』は石膏像をめぐるミステリーで、「石膏像の目は開いているはずがない」ということが前提に物語は進みますが、一般的には知られていないこのような知識を小説の中心に据えると、今までとは違う物語を作ることができるから、ミステリー作家は好んでトリビアを小説に取り入れようとするのだと思います。
私は、小説の中に出てくる、このようなちょっとした知識が大好きで、ページをめくっていてそういう知識に出会ったときは、何か儲けものをしたような気分になり、付箋をはさんだりしてしまいます。
今回はそのいくつかをご紹介しようということなのですが、まず、先ほどの『生首に聞いてみろ』から。
主人公の綸太郎と別な登場人物が大切な話をするために場所を決める場面で、次のような会話が出てきます。
「防音設備だけじゃないんです。ワイヤレスマイクが混線しないよう、部屋ごとに電磁波シールドが施してあるから、盗聴対策にはカラオケボックスが一番なんですよ。」
もっとも、カラオケボックス自体に盗聴器がしかけてあったら、その判断が裏目に出そうですが、確かに一理あるかと。
次は、宮部みゆきの作品より。確か、『火車』だったと思いますが、誰かが亡くなったとき、そのことを戸籍に明記するかどうかは選ぶことができて、親族が何も指示しない場合、明記しないのが普通なんだとか。物語では逆に、死んだことがきちんと記された戸籍が示され、その不自然さが事件解決の鍵となっていきます。
最後に、松本清張の『死の発送』より。この小説では、府中の競馬場から福島の競馬場へ馬を運ぶ列車というのが殺人のトリックに大いにかかわってくるのですが、その列車というのは、馬を乗せているため、途中多くの駅で停車し、えさをやったり水をあげたりしながら、ゆっくりゆっくり現地へ向かうらしいです。ただ、ウェブ上でそのような列車が本当にあるのか調べてみたのですが、はっきりと書いてあるページがありませんでした。代わりに、馬運車、または馬匹車(ばひつしゃ)と呼ばれるトラックが馬を運んでいるようです。昔鉄道で運んでいて、現在はトラックに変わってしまったのかどうかはよくわかりませんが、1911年(明治44年)の鉄道院貨車記号というのを見ると、確かに馬運車というのがありますので、松本清張がその小説を書いたときには、まだ馬を運ぶための鉄道が現役だったのではないかと想像されます。
と、まあ知っていてもあんまり金にならなそうなことに接して、「おっ、ひとつ賢くなったぞ」と勘違いの毎日を送っているのでした(笑)。
おまけ。トレッドミルをする競走馬。あと、馬運車のチョロQもあります。
投稿者 zackie : 2005年03月12日 23:51
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.zackie.biz/blog/mt-tb.cgi/612
